求人票の「エクセル」は、どこまでできればいいのか
事務職の求人を見ていて、応募条件の欄にエクセルの文字を見つけ、そこで手が止まることがあります。パソコンは使える。表に文字や数字を入れることもできる。ただ、それが求人票の言う水準に届いているのかどうかが分からない。
求人票に実際に何と書かれているのかは、読めば確かめられます。
2026年9月1日、ハローワークインターネットサービスで、東京都の一般求人のうち、応募条件の欄に「エクセル」を含むものを検索し、上位50件の求人票を全文確認しました。他の地域は調べていません。
読んだ50件から言えること
求人票が求めていた水準は、多くの場合「表に文字と数字を入力できる」程度でした。
- 最も多かった書き方は「基本操作」「簡単な」「初歩的な」で、16件
- 関数に触れていたのは5件。うち2件は「簡単な関数」「尚可(なくてもよい)」という限定つき
- VLOOKUPは2件、ピボットテーブルとマクロはそれぞれ1件
- エクセルが必須ではなく「あれば尚可」だったものが17件
応募条件の欄に「エクセル」を含む求人票を、上位50件まで全文読んだ結果です。最も多かったのは「基本操作」「簡単な」「初歩的な」という書き方でした。なお50件のうち17件は、エクセルが必須ではなく「あれば尚可」でした。
2026年9月1日にハローワークインターネットサービスで検索。東京都の一般求人50件。1件に複数の記述がある場合は重複して数えています。
必須か、あれば尚可か
読んだ50件のうち、エクセルが応募の必須条件として書かれていたものが33件、「あれば尚可」として書かれていたものが17件でした。
条件の欄にエクセルの名前が出ていても、そのうち17件では、なくてもよいと書かれていたことになります。
記述に使われている言葉
50件の記述に含まれていた語を数えました。一つの求人が複数の項目に当てはまる場合があります。
| 語 | 件数 |
|---|---|
| 「基本操作」「簡単な」「初歩的な」 | 16件 |
| 実務経験・事務経験・経験者 | 16件 |
| 「入力」 | 11件 |
| 関数 | 5件 |
| VLOOKUP | 2件 |
| ピボットテーブル | 1件 |
| マクロ・VBA | 1件 |
「基本操作」「簡単な」「初歩的な」という限定が16件、関数への言及が5件で、前者のほうが多く見られました。
関数=合計や平均などを自動で計算する仕組み(SUM、AVERAGEなど)VLOOKUP=別の表から該当するデータを探して持ってくる関数ピボットテーブル=大量のデータを集計して表にまとめる機能マクロ・VBA=操作を記録して自動化する機能
その関数に触れた5件も、書かれ方は次のようなものです。
エクセルの簡単な関数使える方
・VLOOKUPなど関数を理解できる方尚可
一方の書き手は「簡単な」と限定し、もう一方は「尚可」、つまりなくてもよいと書いています。
実務経験・事務経験・経験者に触れた記述は16件で、関数に触れた5件より多くありました。読んだ範囲では、エクセルの操作の深さよりも、事務の仕事をしたことがあるかどうかのほうが多く書かれていました。
実際の記述
応募条件の欄の記述を、原文のまま抜き出します。
メール、ワード、エクセルの基本操作
パソコンのワードやエクセル他フォーマットへの基本的な入力操作
エクセル、ワード等の簡単なPCスキル必須
ワードやエクセルの簡単な入力
簡単なワード、エクセルの知識のある方
・PC入力(エクセル、ワード)
パソコン基本操作ができること(ワード、エクセル)
・事務経験 ・エクセル基本操作
・一般事務経験 ・ワード、エクセル、パワーポイントの実務経験ある方
エクセル・ワードの業務上使用経験
パソコンによる資料作成(ワードによる文書作成、エクセルによる表計算)について、十分な経験を有していること
抜き出したこの11件では、エクセルという語に何らかの限定が添えられています。「基本操作」「簡単な」「入力」という限定が付いたものと、「実務経験」「業務上使用経験」「十分な経験」という限定が付いたものの、両方があります。同じ「エクセル」という語でも、求人票によって指している範囲は違います。
「必要なPCスキル」という別の欄
求人票には、「必要な経験・知識・技能等」とは別に「必要なPCスキル」という欄があります。確認した50件のうち31件で、この欄に記入がありました。
同じ求人で、二つの欄がどう書き分けられていたかを並べます。
| 必要な経験・知識・技能等 | 必要なPCスキル |
|---|---|
| エクセル・ワード・パワポ実務経験ある方 | エクセルの簡単な関数使える方 |
| ・事務経験 ・エクセル基本操作 | VLOOKUPなど関数を理解できる方尚可 |
| 労働保険手続き・給与計算・ワード・エクセルの経験 | ワードはスムーズな文書作成ができること エクセルは入力ができるレベル |
| ・PC入力(エクセル、ワード) | 日本語の文字入力を問題なくスムーズにできる方 |
同じ求人の中で、二つの欄の書かれ方が一致していません。一つ目では、経験等の欄に「実務経験ある方」とありますが、PCスキルの欄では「簡単な関数」です。二つ目では、経験等の欄が「エクセル基本操作」であるのに対し、PCスキルの欄にはVLOOKUPの名前が出てきます(ただし「尚可」と書かれています)。三つ目は、経験等の欄では「エクセルの経験」ですが、PCスキルの欄では「入力ができるレベル」と書かれています。四つ目は、経験等の欄が「PC入力」で、PCスキルの欄はエクセルではなく日本語入力について書かれています。
一方の欄だけを読んだ場合と、両方を読んだ場合とで、印象が変わる求人があります。厳しく見えた求人がPCスキルの欄では具体的に軽く書かれていることもあれば、軽く見えた求人のPCスキル欄に別の条件が書かれていることもあります。ただし記入があったのは50件中31件で、残りの19件についてはこの欄からの情報がありません。
この欄には、エクセルの機能ではなく入力そのものについて書いた記述もありました。
日本語の文字入力を問題なくスムーズにできる方
パソコンの入力作業(エクセル・ワード) ある程度のタイピング
この欄は、キーワード検索では出てこない
ハローワークのフリーワード検索は、どの欄を検索するかを選べます。ただし「必要なPCスキル」は、その選択肢に入っていません(2026年9月1日時点)。
別の調査で確かめました。「必要な経験等」の欄に「事務経験」を含む求人50件を読んだところ、36件がエクセルに言及していましたが、そのうち35件は「必要な経験等」の欄には書いていませんでした。PCスキルの欄にだけ書いてあったということです。
つまり「エクセル」で検索して出てこなかった求人でも、開いてみるとPCスキルの欄にエクセルと書かれていることがあります。検索結果だけで判断できません。
どの欄に書かれるかは、求人によって違う
2026年9月1日、東京都全体の一般求人を検索した結果は次のとおりでした。
| 検索した欄 | 件数 |
|---|---|
| 仕事内容の欄に「エクセル」を含む | 830件 |
| 必要な経験等の欄に「エクセル」を含む | 110件 |
| どちらかの欄に含む | 929件 |
両方の欄にエクセルと書かれている求人は、11件しかありませんでした。ほとんどの求人は、どちらか片方の欄にしか書いていません。
同じ「エクセル」という語でも、書かれる場所は求人によってばらばらだということです。
ただし、前の章のとおり「必要なPCスキル」の欄はこの検索に含まれていません。応募条件としてのエクセルはこの欄にも書かれるので、110件という数は、エクセルを条件にしている求人の数としては少なめに出ています。この三つの数字は、あくまで検索できる二つの欄についてのものと考えてください。
※11件は、3つの検索件数(830+110−929)から算出したものです。個別の求人票を特定したわけではありません
スキルが高いほど時給も高い、とは限りませんでした
時給表示があった19件を、記述の内容で分けました。
| 求人票の記述 | 件数 | 時給の平均(下限) |
|---|---|---|
| 実務経験や関数を求めるもの | 6件 | 1,388円 |
| 基本操作・入力のみ | 9件 | 1,377円 |
※残る4件は、記述からどちらとも判断できなかったため除いています
差は11円でした。最も低い1,226円が実務経験を必須としており、1,230円が基本操作を「尚可」としている、という組み合わせもありました。
ただし6件と9件という数です。関係がないと言えるわけではなく、この19件からは確認できなかった、というだけです。
求人票を読むときに
「表に文字と数字が入力できる」なら、読んだ50件の多くは応募の条件を満たします。関数まで求めていたのは5件で、そのうち2件は「なくてもよい」と書かれていました。
そのうえで、求人票を読むときに気をつけたいことが二つあります。
ひとつは、「必要な経験・知識・技能等」の欄と「必要なPCスキル」の欄の、両方を見ること。同じ求人でも書かれている内容が違い、水準が具体的に書かれているのは後者のことが多くありました。
もうひとつは、キーワード検索の結果だけで判断しないこと。「必要なPCスキル」の欄は検索の対象になっておらず、エクセルという条件がそこに書かれていれば、検索には出てきません。
この調査で分からないこと
- 読んだ50件は新着順の上位50件であり、無作為抽出ではありません。この50件が110件全体を代表しているとは限らず、残り60件がどう書かれているかは確認していません
- 「必要なPCスキル」の欄を含めた場合に、エクセルを条件にしている求人が全部で何件あるのか。この欄が検索できないため、数えられません
- 求人は入れ替わります。同じ検索を別の日に行えば、対象も件数も変わります
- 対象は東京都の求人です。他の地域で同じ傾向になるかどうかは調べていません
- 求人票に書かれた「基本操作」が、その職場で実際にどんな作業を指すのか。求人票の文字からは分かりません
- 応募後の選考で何が見られるか。求人票には書かれていません
- 「必要なPCスキル」の欄に記入がなかった19件について、その求人が何を求めているのか
調べ方
2026年9月1日、ハローワークインターネットサービスで、東京都・一般求人を対象に検索しました。フリーワード検索の検索対象欄を切り替え、「仕事内容」の欄にキーワード「エクセル」を含む求人、「必要な経験・知識・技能等」の欄に同じキーワードを含む求人、および両方の欄を対象にした検索を、それぞれ行っています。
記述の確認は、「必要な経験・知識・技能等」の欄に「エクセル」を含む110件のうち、新着順の上位50件について行いました。引用はすべて求人票の原文で、要約や言い換えはしていません。事業所名は扱っていません。
「必要なPCスキル」の欄についての記述は、同じ日に行った別の検索(東京都・職種「一般・受付事務」・「必要な経験等」の欄に「事務経験」を含む443件のうち上位50件)で確認したものです。
この記事の運営者について
八王子と国分寺でパソコン教室ピアを運営しています(教室の詳細)。この記事は、ハローワークインターネットサービスで公開されている求人票を実際に読んで、書かれていたことをそのまま整理したものです。引用はすべて原文のままで、要約や言い換えはしていません。確認日を明記しています。
この記事の情報について
件数と記述は、2026年9月1日にハローワークインターネットサービス(厚生労働省)で確認したものです。求人は日々入れ替わるため、同じ検索を別の日に行えば結果は変わります。
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