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事務職の求人と、求人票に書かれている条件

田所祐輔 田所祐輔(パソコン教室ピア 代表) 2026年9月1日 公開
デスクに置かれたノートパソコンと書類

2026年9月1日作成。以下は、厚生労働省の統計(令和8年7月分)と、2026年9月1日時点のハローワークの求人情報にもとづきます。

事務の仕事に就きたいと考えたとき、「事務は人気があるから難しい」という話を、どこかで聞いたことがあるかもしれません。ただ、その「難しい」がどのくらいのことなのか、自分に何が足りていないのかは、その話だけでは分かりません。

この記事では、二つのものを見ます。ひとつは、事務職の求人と求職者が全国で何人いるかという統計。もうひとつは、求人票の応募条件の欄に実際に何と書かれているかです。

この二つは出どころの違う数字なので、混ぜずに、順番に見ていきます。統計は全国の数字で、求人票の調査は東京都のものです。

有効求人倍率(令和8年7月・全国)

1人の求職者に対して何件の求人があるかを示します。一般事務従事者は0.29倍で、全職業の1.05倍を大きく下回ります。

介護サービス 3.82倍 職業計 1.05倍 会計事務 0.56倍 一般事務 0.29倍 事務用機器操作 0.28倍

厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」令和8年7月分 参考統計表7-1。パートタイムを含む常用。

全国の求人と求職者の数

厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」の令和8年7月分(2026年8月28日公表、参考統計表7-1)から、常用(パート含む)・全国計・原数値の数字を見ます。

有効求人倍率は、求職者1人あたり何件の求人があるかを表す数字です。1.00なら求職者と求人が同数、1.00を下回れば求人のほうが少ないことになります。

職業有効求人有効求職有効求人倍率
職業計2,038,0051,949,7811.05
事務従事者181,696498,9410.36
 一般事務従事者120,593415,7730.29
 事務用機器操作員5,14018,5260.28
 会計事務従事者17,74531,9280.56

全職業を合わせると、求人がわずかに求職者を上回っています(1.05)。事務従事者では0.36で、求人のほうが少なくなっています。

この表の中で、事務従事者の求職者数は498,941人です。全職業の求職者1,949,781人のうち、およそ4人に1人が、事務の職業を希望して登録していることになります。一方、事務従事者の求人181,696人分は、全職業の求人2,038,005人分のうち9%ほどです。

なお有効求人数は、求人の件数ではなく、その求人が何人を採用する予定かを合計した人数です。

事務の中でも数字は違う

事務従事者の中を見ると、会計事務従事者が0.56で、一般事務従事者の0.29や事務用機器操作員の0.28より高くなっています。ただし0.56も1.00は下回っています。

この統計は、それぞれの職業に求人と求職者が何人いたかを示すものであって、「簿記を持っていれば有利」といったことを示すものではありません。会計事務の数字が相対的に高い理由が何なのかは、この統計からは分かりません。

他の職業と並べたとき

同じ月、同じ区分の他の職業の有効求人倍率を並べます。

職業有効求人倍率
保安職業従事者6.54
建設・採掘従事者4.99
介護サービス職業従事者3.82
サービス職業従事者2.60
販売従事者1.85
専門的・技術的職業従事者1.69
職業計1.05
運搬・清掃・包装等従事者0.65
一般事務従事者0.29

一般事務従事者より低い職業は、美術家・デザイナー・写真家・映像撮影者(0.15)など、ごく限られたものだけでした。

多くの職業では求職者より求人のほうが多く、一般事務従事者はその逆になっています。「事務は人気がある」と言われるときに指されている状況は、数字の上ではこの形をしています。

就職に至った件数

同じ月の就職件数も公表されています。有効求職者数に対する割合を計算すると、次のようになります。

一般事務従事者は2.9%、全職業では4.1%でした。求人倍率の差ほど大きく開いてはいませんが、就職に至った割合も全職業の平均より低くなっています。

なおこの割合は、その月にハローワークで就職が決まった件数を、その月の有効求職者数で割ったものです。求職者が最終的に就職できたかどうかの割合ではありません。

前の年の同じ月と比べて

一般事務従事者について、前年同月比が公表されています。

項目前年同月比
新規求人−5.3%
有効求人−7.1%
新規求職+4.9%
有効求職+1.7%
就職件数−5.9%
有効求人倍率前年同月差 −0.03

求人が減り、求職者が増え、就職件数も減っています。倍率は0.03下がりました。ひと月分の数字なので、これが続いている動きなのか、その月だけのものなのかは、この数字だけでは分かりません。

この統計について、注意すること

求人票に書かれている条件

ここからは東京都の求人票の話になります。前の章は全国の統計で、この章とは数字の出どころが違います。

2026年9月1日、ハローワークインターネットサービスで、東京都・一般求人・職種「事務・オフィスワーク>一般・受付事務」を検索しました。基準となる件数は4,479件でした。

このうち、「経験不問」の条件で絞り込むと2,541件になります。全体の56.7%です。

裏返すと、残る1,938件は「経験不問」の絞り込みには入らなかった求人ということになります。ただしこれは、求人票の該当項目で絞り込んだ結果であり、1,938件すべてが経験を必須にしていると読むことはできません。実際に何が書かれているかは、次の章で50件を読んで確かめます。

条件の欄に含まれる語

4,479件のうち、「必要な経験・知識・技能等」の欄に次の語を含むものの件数です。

件数
経験1,690
事務経験443
パソコン71
未経験56
エクセル52
ワード41
簿記37

「経験」を含むものが1,690件で、4,479件の約38%にあたります。そのうち「事務経験」という語まで書かれているのは443件で、全体の約10%です。「経験」を含む1,690件のうち、残りの1,247件が何の経験を指しているのかは、この検索結果からは分かりません。

検索に含まれない欄がある

上の表でエクセル52件、ワード41件という数字は、実際より少なく出ています。

ハローワークの求人票には、「必要な経験・知識・技能等」とは別に「必要なPCスキル」という欄があります。2026年9月1日時点で、この欄はフリーワード検索の対象に含まれていません。

次の章で読む50件でも、エクセルに触れていたのは36件ありましたが、そのうち35件は、経験等の欄ではなく「必要なPCスキル」の欄に書いていました。ソフト名はこちらの欄に書かれることが多く、経験等の欄だけを検索した件数は、条件としてエクセルやワードを挙げている求人の数を下回ります。

一方、「経験」「事務経験」は経験等の欄そのものに書かれる語なので、この影響を受けません。1,690件と443件は、そのまま読める数字です。

「事務経験」と書かれた50件を読む

「必要な経験・知識・技能等」の欄に「事務経験」を含む443件のうち、新着順で上位50件を全文確認しました。無作為抽出ではないので、この50件が443件全体を代表しているとは限りません。残りの393件がどう書かれているかは確認していません。

読んだ50件では、こうでした。

必須か、あれば尚可か

応募条件としての強さ件数
必須19件
あれば尚可31件

条件の欄に「事務経験」という語があっても、この50件では、31件がなくてもよいと書いていました。事務経験の語が出てくること自体は、必ずしも経験者に限った求人であることを意味していませんでした。

ただし、これは新着順の上位50件についての数え方であり、443件全体の内訳ではありません。

経験年数の指定

年数の指定件数
あり4件(3年が2件、1年が2件)
なし46件

年数を書いていたのは50件中4件でした。残る46件は「事務経験」とだけ書いており、何年必要かは求人票の文字からは分かりません。

「必要なPCスキル」の欄

50件のうち47件で、この欄に記入がありました。前章のとおり、この欄は検索の対象外です。応募条件のうち、ソフトや操作についての具体的な水準は、求人票を開かないと読めないことになります。

実際の記述

条件の欄の記述を、原文のまま抜き出します。

必須 人事・労務事務経験/各種社会保険手続きの経験/給与計算の経験
   上記いずれかの実務経験
   ※実務経験あれば人事以外の、経理等出身でも可

必須 PCを使用した事務経験がある方(Outlook・Excelの基本操作程度)

必須 パソコンを使用した一般事務経験者(金融機関経験者歓迎)

必須 営業または営業事務経験3年以上

必須 経理事務経験

あれば尚可 医療事務経験者

同じ「事務経験」でも、指しているものは求人によって違います。人事・労務、経理、営業事務、医療事務と、分野を限定して書いているものがあります。一つ目は分野を挙げたうえで「実務経験あれば人事以外の、経理等出身でも可」と書き添えており、二つ目は「事務経験」とソフトの水準(「Outlook・Excelの基本操作程度」)を同じ一文に並べています。年数を書いているのは四つ目だけです。

二つの数字は、別のことを言っている

ここまでの数字は、二つに分かれます。

前半の統計は、全国のハローワークで、事務の求人がどれだけあり、求職者がどれだけいたかというの話です。一般事務従事者の0.29という数字は、求人1人分に対して求職者が3人以上いるということを意味しています。これは応募条件とは関係がありません。経験があってもなくても、この数字は同じです。

後半の求人票の調査は、東京都の一般・受付事務の求人が、応募条件の欄に何と書いているかという話です。「経験」を含むのが約38%、「事務経験」まで書いているのが約10%でした。読んだ50件では、「事務経験」の語があるもののうち31件が「あれば尚可」でした。

全国の統計が示す量の問題と、求人票の条件の問題は、別のものです。条件を満たす求人が見つかることと、その求人に応募者が何人集まるかは、この二つのデータのどちらからも同時には分かりません。

この調査で分からないこと

調べ方

有効求人倍率と就職件数は、厚生労働省「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」令和8年7月分(2026年8月28日公表)の参考統計表7-1から、常用(パート含む)・全国計・原数値を用いました。

求人票の件数と記述は、2026年9月1日にハローワークインターネットサービスで、東京都・一般求人・職種「事務・オフィスワーク>一般・受付事務」を対象に検索した結果です。基準件数は4,479件。記述の確認は、「必要な経験・知識・技能等」の欄に「事務経験」を含む443件のうち、新着順の上位50件について行いました。

引用はすべて求人票の原文で、要約や言い換えはしていません。事業所名は扱っていません。求人は入れ替わるため、同じ検索を別の日に行えば、件数も対象も変わります。

この記事の運営者について

八王子と国分寺でパソコン教室ピアを運営しています(教室の詳細)。この記事は、厚生労働省の統計と、ハローワークで公開されている求人票を実際に読んで整理したものです。数字の出どころと確認日を明記し、この調査で分からないことも書いています。

田所祐輔

田所 祐輔

パソコン教室ピア 代表 / Web・IT活用支援

広告代理店・大手ECでのWeb集客経験を持ち、前職では事務職の採用を担当。現在も企業の採用支援として求人広告の運用・改善を行っています。八王子教室・国分寺教室を運営し、日々パソコン教室選びのご相談を受けています。

パソコン教室ピア 国分寺教室の講師紹介

この記事の情報について

統計は厚生労働省の公表資料、求人票の件数と記述はハローワークインターネットサービスで、いずれも2026年9月1日に確認したものです。統計は月次で更新され、求人は日々入れ替わります。

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